顎関節症ってどんな病気?
顎関節症とは、顎の関節とその周辺に障害が起きる病気で、顎を動かしにくくなって口を大きく開けることができなくなる、口を開け閉めする時にカクンとか、シャリシャリと音がする、口を開けると顎や耳の穴のすぐ脇にある関節が痛む、食べ物がよく噛めなくなる、顎の周辺やこめかみなどが痛む、首や肩がこる、などの症状があらわれます。
痛みの部位や程度は個人差がありますが、左右どちらかだけに症状があらわれる場合が多いようです。また、顎とその周辺だけでなく、頭痛、めまい、耳鳴り、手足のしびれなどの症状を訴える人もいます。
顎関節症はここ10数年で急増しており、10~20代・40~50代の女性の2つのピークに多く見られます。
なぜ男性より女性の方が多いのかはまだよくわかっておらず、「女性の方が男性より骨格や筋肉が弱いから」「女性ホルモンが関係する」「精神的なストレス」など、いろいろな説があります。
顎関節症の原因は?
昔、虫歯の治療をしてかぶせた金属やプラスチックが壊れたり、さびたりして噛み合わせが悪くなったり、親知らずや虫歯があって痛くない方の歯で無理に噛んで悪い噛み癖がついたりすると、顎関節症になりやすくなります。
抜歯後に治療しないで放置すると、前後の歯の位置がずれて噛み合せが悪くなることもあります。また、元々噛みあわせが悪いのに長年無理して噛んでいた結果、食べ物がよく噛めなくなったり、痛みが生じたりすることもあります。さらに、歯ぎしりや頬杖をつく癖があると顎の関節や筋肉に負担がかかるため、顎関節症になることがあります。
精神的なストレスや心配事などで歯を食いしばったり、歯ぎしりする癖がある人も要注意です。
顎関節症と間違えやすい病気
ひどい歯痛などでも顎のあたりまで痛みが生じることがあります。また、症状が似ていて、顎関節症と間違えやすい病気には、神経血管性の頭痛や、智歯周囲炎(ちししゅういえん)や耳下腺炎による炎症、骨折の既往症などの外傷、慢性関節リウマチなどがあります。
これらの間違えやすい病気は、病院できちんと症状や経過を伝え、さまざまな検査を行うことによって額関節症と区別できます。
顎関節症の治療法は?
顎関節症は、軽いものなら自然に治ってしまうこともあります。
しかし、放っておくと次第に症状が悪化してめまいなどを伴うようになったり、口が開けられなくなったり、食べ物がうまく食べられなくて心身に悪影響を及ぼしたりしますので、早めに治療した方がよいでしょう。
顎関節症は、一般的に歯科で治療します。
まず、噛み合せの悪い部分の歯の治療をきちんとすることが大切です。また、痛む部分を温めたり冷やしたりする、炎症を抑える薬や筋弛緩剤、ストレスによる歯ぎしりを軽減するための抗不安薬などの薬を飲む、などの治療を行います。
そのほか、スプリントという歯列をおおうマウスピースのようなものをつけて、顎の関節の負担を軽くし、顎の筋肉のバランスを整え、顎位を正しい位置に誘導するスプリント療法を行うこともあります。
重症の場合は、内視鏡下手術など、顎関節を外科的に治療することもあります。
顎関節症のセルフケア
歯科での治療のほか、原因とみられる歯ぎしりや頬杖などの悪癖を改善することも大切です。また、痛みが強い時は、硬いものや長い時間噛まなければならないようなものを食べないようにすることや痛む部分のマッサージも効果的です。
さらに、大きく口を開けたり、長時間会話したりするのをなるべく控える、電話する時に受話器を肩と顎ではさまないで必ず手で持つようにする、姿勢をよくすることなどにも注意しましょう。
寝る時は顎の関節や首の筋肉に負担をかけないよう、枕を低いものにして、仰向きか横向きで寝るとよいでしょう。